欧羅巴の英語たち①

ヨーロッパの企業で働いていると、英語以外の言語を母国語とする人と関わることが多い。
私が勤めている会社はヨーロッパ中に支社があるため日常的に様々な国の人とやりとりをするわけで、必然的に色々な英語と出会うことになる。ヨーロッパ内で英語下手のレッテルを貼られがちなのはイタリア、スペイン辺りだろうか。あと、フランスも忘れてはおけない。彼らは母国語のイントネーションを保持したまま英語を使うため、慣れていないと非常に聞き取りにくく、ちょろっと聞いただけでは英語だとわからないことも多い。東欧の英語も個性的だし、スコットランドを持ち出すまでもなく英語の国イギリスだって地域によっては理解不能なくせがある。それはもう、バラエティにとんだ英語たちなのだ。

こんなことを書いていると私が素晴らしく堪能な英語で日々を送っているように聞こえるかもしれないが、実際はその逆である。イントネーションのせいだけにはできない聞き間違えなんて日常茶飯事だし、喋らせればドイツ語訛りだし、文章なんて書いた日には日本の中学生に添削されて笑われそうな出来だ。
いや、さすがに中学生には笑われないと思いたいが、決して胸をはれるものではない。

しかし、それでいいのだ。と思うことにしている。

そもそもビジネスの場において英語は言語が異なる者同士が折り合う妥協策でありツールなのだから、自分の役割をまっとうできれば完璧な英語など必要ない。
更に言えば、英語が母国語ではない人とやりとりをする際はシンプル第一。洒落た言い回し、本筋からずれる詳細な説明などは思いきって省いてしまったほうが論点は伝わりやすい。自分の英語が完璧だったところで相手に伝わらなければ意味がないのだ。

と、開き直って日々の仕事に取り組んでいた。

しかし。

しかし!


明日に続く。