悪癖

私には、自覚している癖がある。

口の中を噛むこと
唇の皮をペリペリ剥くこと

やめたほうがいいのはわかってるのに、やめられない。

おかげで口の中は常にボロボロ、唇は荒れ放題。流血沙汰になることもしょっちゅうだ。

たった3日、我慢して触らなければきれいに治るのはわかっているのに、それができない。噛んだところが治りかけているところが気になり、そこに狙いをつけて噛んでしまうという悪循環に嵌っているのだ。そして無意識でも繰り返してしまうほどの癖を3日抑え続けるのは想像以上に辛い。特に考え事をしているとき、頻出するらしい。

とは言え今までに何度か成功したこともある。その際の達成感は半端なく、自分すごい、やればできるじゃん!と、心から自分の強固な意志を讃える。いつもボロボロでガサガサの粘膜に触れていた舌も喜ぶというものである。つるつるになった口の粘膜を、そのまっさらな状態から噛まないようにする我慢は前の3日間に比べれば苦にならないため、つるつる状態をキープするのもこれは余裕かという気になる。あわよくば悪癖とも永遠におさらばかと。

しかし。そう簡単なことなら私だってこの悪癖と10年以上も付き合っていない。熱いものを飲んで軽く火傷をしたり、風邪で粘膜がやわくなり自然に剥けてくるともうだめなのだ。あれほど自賛した強固な意志もどこへやら、元の木阿弥である。

それからはまた一大決心をして3日間の我慢期間をもうけるしかない。

そして、もう1ヶ月以上、今日からはやるぞと思い続けて実行に移せない。


今日からは本当にやるぞ。