棚からぼた餅

外出自粛が始まってしばらくの事だから、4月の頭のことだ。
いつも利用している眼鏡屋でコンタクトを買おうと思い、オンライン登録の後注文を済ませた。時期が時期だけに発送まで時間がかかるだろうとは思ったが、そのとき眼鏡屋は開いてもいなかったし、緊急で必要なものでもなかったためそのうち届くだろうと鷹揚に構えていた。

しかし、注文確認のメールが届いてから実に5週間が経過しても何の音沙汰もない。さすがに遅いと感じコールセンターに連絡するも、発送されたのかどうかさえわからず要領を得ない。ロックダウンのなか注文が殺到し、ひとつひとつのプロセスに通常より時間がかかることは理解しているが、何の連絡もないとはどういうことかと少々怒り気味のメールを書いた。電話ではらちがあかなかったからである。3日後に返ってきたメールには、注文は発送はされたが破損のためにキャンセルになったとのこと。まだ商品が入用なら新しく注文し直せとある。5週間何の連絡もなく待たせておいてそれかい...もちろん謝罪の言葉は一言もない。さらにタイミング悪く振り込みの催促の手紙がわざわざ紙媒体で届いた。必要な連絡はしないくせに入金催促の連絡はきっちり届くところがまた腹立だしい。もう絶対こんな店で買い物なんてするかー!と一瞬息巻いたものの、他の店で視力検査をイチからしなくてはならないのはめんどくさい。というか、この状況で視力検査をやっているのかさえ怪しい。私は眼鏡もコンタクトもこの店で買っているのだ。せめて次の注文に使えるクーポンでもつけてくれたらと再びコールセンターに電話をするも、いつまでたっても繋がらず...結局、時間と労力の無駄な気がして怒りとともにこの件は忘れることにした。

そして昨日。覚えのない、箱が潰れかかった郵便が届いた。何だろうと思ったら、4月頭に注文したコンタクトではないか。一体この2ヶ月どこをさまよっていたのだろう。開けてみると、箱の潰れを受けて外装の箱はボコボコ。破損っていうのはこういうことだったのねと妙に納得したが、キャンセルされたはずの郵便がなぜ今になって届いたのかはさっぱりわからない。しかしそれよりもなによりも、大事なことは外装はボコボコだろうがひとつひとつ個装されているコンタクトレンズは無事だということである。注文したのはお得用2パック、お値段140ユーロ。日本円にして1万7千円。キャンセルされた注文なのだからもちろん精算する必要はない。

超ラッキー

届かない郵便と使えないコールセンター人員とのやり取りでイライラした分を差し引いてもおつりが札で返ってくる。
適当な人が多い国、オーストリア。たまにはこんな棚からぼた餅体験もあるものである。