生活に潤いを

自宅待機が最初に緩和されたのはイースターが過ぎた4月の中旬だったが、その後何日かホームセンターと園芸センター入店のために並ぶ人々の様子がニュースで取り上げられていた。人間、家にしかいられないとなると部屋の模様替えや庭の手入れに時間を使うものなのだなと妙に客観的に見ていたが、我が家もそんな例に漏れずこの3週間でバルコニーにはハーブ、部屋には観葉植物をふたつ購入した。

うちひとつは既に私の身長を超すほど大きく成長したゴムの木。つやつやで肉厚な葉は頼もしく、ちょっとやそっとの環境の変化では枯れそうにないというのが購入の決め手だった。めんどくさがりな私は何かを育てるということに自信がないため今まで積極的に植物を買おうとしなかったのだが、ここ何日か新しい家族たち(植物)と過ごし、緑のある生活は本当に癒されるのだな、と今更ながら感心している。さらに、ひとつ植物の鉢があるだけで部屋の雰囲気が見違える程良くなった。何となくしっくりこないと思い続けてきた部屋に、足りないものはこれだったのか!と嵌った感じ。

私が初めて本気で植物を育てたのはドイツで働いていたときだった。と言っても本当に最低限の広さと足りないものだらけの一人暮らしの部屋に癒しの緑を導入しようと思い立ったわけではなく、オフィスに購入したのだ。きっかけは上司の一言だったと思うが、購入から世話まで私が担当することになった。なんの知識もないまま、なんとなくで選んだいくつかの植物をネットで注文した。その時点では、さすがに購入してすぐ枯らすのはまずいよなぁくらいの消極的な気持ちだったのだが、届いた植物をどこに置くか考えているときすでに結構な愛着が湧いており、それから水やりの仕方や肥料をやる際に気を付けるポイントなど、就業中に随分いろいろと調べた。その甲斐あって植物たちは枯れることなく順調に成長し、仕事を辞めてウィーンに戻ってくる前に植え替えにチャレンジするまでになった。スージーとリサとゴンちゃん、元気にしているだろうか。

今日、うちにきたばかりのゴムの木の赤い新芽がだらんと下を向いていることに気づき、この1週間足らずの間にもう何かひどい仕打ちをしてしまったのかと戦慄した。ネットで調べまくった結果、下を向いているのは新芽ではなく新芽を包んでいるがくのようなもので、新芽が成長すると自然に剥がれるものらしい。あー、よかった。