白湯仲間(ニアミス)

朝一番に白湯を飲むようになって、もう1年くらいにはなるだろうか。

私は従来季節を問わず冷たいお茶か水をがぶがぶ飲む人だったのだが、いかんせん冷え性なため、ある時この習慣を見直したほうがいいんじゃないかと思いたったのだ。最初は何の味もしないただのお湯をすするのに少なからず貧乏臭さを感じていたのだが、慣れると悪くない。ほんのり甘いような気すらする。しかもオーストリアの水道水は軟水でうまいときている。お財布にやさしく、なんとなく身体にも良さそう、ということで、その時の気分で朝だけに限らず白湯を飲むようになった。

私とオフィスをシェアしている同僚はトルコからアジアをまたいだ地域を担当している営業マンで、定期的に中国に出張に行く(もちろんコロナ渦が始まってからは出張はおろか一貫して自宅勤務をしているのでこの半年で彼には2回ほどしか会っていない)。そして出張の度に顧客からおいしい中国茶を貰ってきてくれ、私は貰ってきた張本人がオフィスにいなくても遠慮なく有難く、そのご相伴に預かっている。

茶を飲むための湯沸かし器は共同キッチンにあり、ここで大抵の場合誰かしら同僚と鉢合わせし、雑談をすることになるのだが、そのとき茶筒を持っているとほぼ確実に「お茶を飲んでるの?健康的だねー」的な発言をされる。オーストリアは言わずと知れたコーヒー文化の国。茶文化が浸透していないのだ。それはいい。こちらも「本格中国茶だよーおいしいよー」的な適当発言で返すのみだ。

しかしこれが白湯だった場合はどうか。

「何飲んでるの?」

「ただのあったかい水」

「。。。(なんだコイツ)」

みたいな流れになってしまうのだ。そこで白湯の健康パワーについて力説できるほど詳しいわけでもなく宣教をしたいわけでもない私はその場を適当に濁してしまうため、確実に幾人かの同僚から変な奴認定されていると思う。

今日、なかなか遭遇しない同僚とキッチンで鉢合わせし、挨拶をしながら目をやると彼女のマグカップにはただの白湯が入っているではないか。

若干興奮気味で「もしかしてあなたも白湯飲むの?」と聞いたら「え?...えっと、自分で持ってきているティーバッグが席にあるの」

 

撃沈。

 

またひとり同僚に変な奴認定されてしまった。